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MANSAI◎解体新書 その拾七―聲― 弐

萬:狂言の世界では「めらす」という言葉があって…。
酒:「めらす」!?
萬:「めらす」
酒:なんですか「めらす」って。すっごい食いついちゃいました。
萬:めらす…そうですねぇ。なんて言うんだろう。
酒:どんな字なんですか?
萬:どんな字なのか…考えたこともないですねぇ。

ここで、めらすとはこんな感じ。と説明。

酒:あぁ!ちょっとしおれると言うか、しなっとなる。みたいな。
萬:そうですね。
酒:それは解る気がします。僕たちも歌ってて、最近めらすのが良いんじゃないか。みちあな事ありますから。この辺はめらしてみよう。みたいな…って、ごめんなさいね。言ってみたいだけですね。

萬:狂言にはリズムを取るという習慣がないんですよ。地謡とか地頭って言うのがあって、地頭に合わせて歌うみたいな感じなので。
酒:リズムですか。リズムに関しては、こう(スナップ)とか、こう(HBB)とか。ですかね。
萬:え?今の(スナップ)何やったんですか?
酒:え?あぁ、これは、こうやって…。
萬:あぁ、指パッチンですね。
酒:(笑)指パッチン。丸腰なんですよ。
萬:後にやったのは、えぇとヒューマン・ビート・ボックスですか。それは息?
酒:息とはまた違って、息+マイク芸みたいな所があるんdすよ。
萬:マイク芸?
酒:マイクってこう、近づけて息を吹きかけると音がもわんてするって言うか。こうやって。ね。近づけて喋ってもそうですね。これをマイクの近接効果って言うんですけど。それを利用してやってる部分もあります。
萬:でも、それこそ低いベースみたいな音も出したりしてましたよね。
酒:それはこう(マイクを離して「カッ!カッ!」と)こんな音とかも組み合わせつつ。あとはこう(マイクを離して音を出す)とか…なんか猫がシャーって言ってるみたいですよね(笑)
萬:機械になっちゃったのかと思った。
酒:これができると、何かと重宝するんですよ。ドラムの音が無い時とか。あとは、まだ学生時代とかに安アパートで、ドラムセット叩いてると隣に住んでるおじいさんとかに「ウルサイぞー!」とか言われる時でも音を小さくしたりできるので。
萬:音量調節できるんですか?
酒:ある程度なら。
萬:でも、たとえばそれをやった後に歌うとか、大変だったりする事って無いんですか?
酒:ありますよ。こないだ…つい一昨日もちょっとライブで歌わせて貰う機会があったんですけどね。村上が無理難題ふっかけてきて、歌の途中でお客さんいじってる間中ずーーーーっとリズム取ってた時は、さすがに顔が真っ赤になりましたね。それまでドンツク言ってたのに、終わったら突然歌って言われてもねぇ。歌い始めると音が外れたりとかしますよ。無理だろそれ!みたいな感じで。
萬:狂言の場合は、拍と言う概念がないんですよね。リズムを取るのは太鼓って楽器になるんですけど。それの長さによって、一拍が凄く長かったり短かったりする。最初のドンって音が零拍で、その後に続く音が???♪って長くて、一拍。次の?♪が二拍。みたいな感じです。
酒:その辺りは全然違うんですね。
萬:狂言の世界には「一調二機三声」という世阿弥の教えがありまして。まずは調子を整えるところから始まるんです。だから、声を出す時もしばらく溜めて溜めて、息を吸った所でタイミングを見計らって下からもってくる。みちあな。
酒:ああ、僕もどっちかって言うとそうですね。下から持ってくるタイプです。ただ、僕たちの場合は1.2.3.4で入る。とかそういう事が必然的に必要になってくるんです。
萬:それは4で入るの?それとも、4.で入るの?
酒:4で入る感じですね。
萬:狂言の場合だと「ハイ」って言われて出す音ってのは無いですからね。

萬:リズムとありましたが、俳句のナレーションもされてますよね。それに対してはどうですか。
酒:俳句は…後ろにも出てますけど「五七五の規制」って言うのがありまして。確かに読んでいて心地良い音って言うのはあるんです。ただ、それに縛られ過ぎてはいけないな。と。トトトトト・トトトトトトト・トトトトト(平坦に読む)みたいな。そうじゃなくて、もっとなんて言うかこう…。
萬:トットトト・トトトトトトト・トトトット(音に強弱を付ける)みたいな感じですか。
酒:そうですね。
萬:急にポップな感じになりましたもんね。
酒:そういう風な事を、考えながら、読ませて貰うようになりました。そうすると凄く楽しいんですよね。
萬:こんな声で読もう。とかはあるんですか。
酒:そうですね。ちょっと低めに…萬斉さんなんかは低くてこう、女の人とかが好みそうな声されてるじゃないですか。
萬:(笑)
酒:オマエヨー!フザケンナヨー!みたいに甲高く言われるよりも、低い方がね。モテ声って言うんですか。そんな感じで読むようにはしてます。

萬:狂言の場合だと、まず言葉があって。それを音に乗せていくんですけど。その辺りはどうですか。
酒:その辺りは全く反対とでも言いましょうか。ゴスペラーズの場合「曲先」と言う言葉があるんですけど。まずこんなメロディーが良いな。って言うのがあって、それに対してこの言葉かな。って歌詞を合わせていくんです。その時にどうしても気持ちいい音って言うのがあって。それに縛られるのは恐いな。と。悪い意味ばかりじゃないんです。ただ、そればかりになってしまうのが怖いと言うか。だから、最近ではそういうのを意識して作ったりもしますね。例えば、原稿用紙があって、その升目にひとつずつ平仮名を入れていくような作業で。ただ、その原稿用紙の升目は大きいのがあったり横に長いのがあったり、角ばってるのがあったり。そうやって、色んな形にあてはめていくんです。あ、この音にはこれかな。って。
萬:音に対して文字が入りきらなくなったりとか。そう言うのは無いんですか。
酒:ゴスペラーズの場合、解らない言葉にしない。って言う決まりはあります。聴いていて意味が分からないのはやめよう。って。…あ、例えばチャッカマンとか良いですね。
萬:え?チャッカマン?
酒:あ、すいません。いや、さっきのリズムだとそんな感じのリズムだったなって思って。そうやって、後になって思いつく事も多いんです。だから例えば、フォークソングとニューミュージックみたいな感じで。フォークソングだと「君と暮らしていた頃?♪ジャラ?ん♪美味しいご飯を毎日食べたかった?♪ジャラ?ん♪」みたいな感じなんですけど。それをNo!!って言ったのがノーミュージック。つまりニューミュージックなんです。そうなると、メロディー先行リズム先行で、その中に入る言葉が曖昧でも良い。みたいな。まず聴こえて気持ちいい音が先行しちゃうような。そういう曲が多い昨今だと。思ったりもするのです。はい。
萬:狂言なんかは逆に音に頼り過ぎて言葉が分らなくなったりしますからね。「何て謡ってるのか分りません」とか言われたりもしますし。その辺りは全く別物という訳ですね。

萬:ところで、自分がどこを歌うのかとかは、取り合いになったりしないんですか。
酒:しますよ。いつも取り合います。若い頃なんて、殴り合いの喧嘩みたいでした。まず曲を持ち寄って、自分はこの辺りがいいな。ってことで、ひととおり全員が歌って、それで今回はここ。って具合に決まります。
萬:狂言の世界では「ハモる」という概念がないですからねぇ。それこそ地頭に合わせて後ろも上げたり下げたりするくらいで。それぞれが歌ってる感覚とでも言いましょうか。
酒:あ、なんか今の良いですね。そういう曲が作れたら良いなぁ。それぞれが全くハモらずに、自分の好きなように歌っていくみたいな。そんな感じの。
萬:それで最後にどーんってハモるんですか。
酒:途中はそれぞれが全力疾走して、最後だけしっかりハモる。良いですねぇ。焦らせて焦らせて最後に…みたいな。って。すいませんね品格が足りなくって。本当にすいません。
萬:(笑)
酒:でも、それぞれが個性だけで歌うってのは難しいかもしれないですけど、これから先、そんな感じの曲を作ってみたいなぁ。って思いました。
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